August 14, 2008

2008年7月 公開講座

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■2008,7,27(日)10:00〜

■テーマ;「弥生時代の甕棺焼成ルーツは雲南省」

===弥生時代の土器焼成技術をさぐる===

■講 師;柏原 孝俊さん 小郡市文化財保護課

2008年度の中国古代交流史の旅は、日本の稲作の故郷ではないかと考えられる雲南省を訪れる予定であった。しかし、様々な事情で実施することを中止せざるを得なくなったことは、非常に残念である。雲南省は、少数民族が多い。また、各地に残る棚田は日本の山村に分布する棚田と同じである。

今回の公開講座では、小郡市文化財保護課の柏原孝俊さんをお招きして、弥生時代に使用された甕棺のルーツが雲南省にあることをさぐってみたい。

■要 旨;

●はじめに

従来の土器の研究は、様式と編年を中心に研究が進められてきた。土器の焼成技術の研究は、弥生土器研究上必要であるとの共通認識があるが、評価がまだ確立以前の段階である。

従来、弥生土器の焼成方法は、簡単な野焼きと考えられてきた。「世界炎の博覧会」の準備の一環として、ベトナム・ヴィンドック村、中国雲南省西双版納、タイのハンケオ、モンカオケオ村の土器焼成を視察した結果、従来の野焼き説を改める必要性を感じた。

今回は、広くアジア各地の土器焼成事例を紹介し、焼成実験の成果をもとに弥生土器の製作・焼成について考えてみたい。

●民俗事例の紹介

�ベトナム=ヴィントワン省バックビン県ヴィンドック村のチャム族

焼成法は野焼きである。焼成に関してなんらの構成物も用いない野焼き。風の利用が不可欠で、常に一定方向から吹く風が要求される。焼成時間が約20分と短いのも、この焼成法の特徴である。焼き上がった土器の色調はくすんだ褐色で、土器に見られる黒斑は不規則である。

�タイ=タイ北部 ハンケオ村、モンカケオ村

燃料に藁を使用し全体を覆い、さらに上から灰をかぶせる焼成方法。焼き上がった土器は、黄褐色を呈し、明るい色調のものが多い。また黒斑の位置には規則性がある。

�中国=雲南省西双版納マントウ村のタイ族

焼成法は、土器と燃料が藁と粘土で覆われ、燃焼空間が完全に密閉される泥窯といえる構造。したがって少ない燃料で熱効率がよい焼成法である。焼き上がった土器は、黄褐色を呈し、明るい色調のものが多い。また黒斑は少なく、黒斑の位置には規則性がある。

●土器の焼成実験

雲南式(泥窯式)と野焼きを比較する。焼成後の土器の色調と黒斑を比較してみると、弥生土器(甕棺)は野焼きで作られたのではない、と考えられる。

●焼成後の痕跡と残滓

焼成粘土塊、破壊痕土器、黒斑、色調などを考えると、弥生土器の焼成技術は雲南式と同様に泥窯で焼かれたものである。

●弥生時代の土器焼成遺構の事例検討

雲南式と考えられる遺構として、佐賀県鳥栖市大久保遺跡、大阪府富田林市喜志遺跡がある。大久保遺跡には、甕棺を焼成した泥窯の跡が見つかっている。ここでは、甕棺を二個同時に焼成したと考えられる。

●まとめ

弥生土器焼成解明の現状は、日本国内の事例研究が少なく今後各地の弥生土器を研究していく必要があるが、従来の野焼きによる甕棺の製作は改める必要がある。甕棺に限って言えば、その焼成方法は雲南省に遡るといえる。

 



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